名誉に対する罪―侮辱罪

侮辱罪（ぶじょくざい）とは、刑法が規定する「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した」罪をいう。

刑法
（侮辱）
第二百三十一条 　事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

侮辱罪（２３１条）は名誉毀損罪（２３０条）とともに刑法第３４章（２３０条～２３２条）で規定されている人の名誉を害する罪に位置づけられている。

なお、判例・通説では、両罪の区別基準は事実の摘示の有無であると解している。

つまり、事実の摘示を伴えば、名誉毀損罪、伴わなければ、侮辱罪ということになる。

たとえば、事実を摘示するのではなく、単に「馬鹿野郎」などと、公衆の面前で罵倒する行為は名誉毀損罪ではなく、侮辱罪を構成する（侮辱罪に該当する）。

判例・通説では、侮辱罪の保護法益は、名誉毀損罪と同じく、人に対する社会的評価（社会的名誉・外部的名誉）であり、個人の名誉感情（主観的名誉）ではないと解している。

侮辱罪は、名誉毀損罪と同じく、告訴しなければ公訴を提起することができない親告罪とされている。

刑法
（親告罪）
第二百三十二条 　この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

侮辱罪の法定刑は、現行法上、もっとも軽い拘留または科料とされている。

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