[社会]仕組み・手続き(申請・届出)・内容証明郵便など

日本の社会の仕組みや行政手続き等の方法・仕方・手順などを取り扱います。


騒音―生活騒音の問題を解決する方法―マンション・アパート編―民事訴訟による損害賠償請求―判例の基準


裁判を起こして騒音の慰謝料を請求できるための判例の基準

受忍限度論

概要・概略・全体像

裁判所に騒音による損害の賠償請求をするには、民法上の不法行為責任の規定が根拠となります。

判例は、「社会共同生活を営む上で一般通常人ならば当然受忍すべき限度を超えた侵害を被ったときに侵害行為は違法性を帯び不法行為責任を負う」という、いわゆる受忍限度論という理論を採用しています。

ここにいう「受忍限度」とは、我慢の限界といったくらいの意味です。

通常ならば、我慢すべき程度の騒音であれば、違法とまではいえず、不法行為とはなりません。

受忍限度を超えているかどうかの判断基準

騒音に対する感じ方には個人差があります。

そこで、裁判では、受忍限度を超えているかどうかは、次の諸点を総合考慮して判断されることになります。

  • 騒音の原因・程度
  • ほかの住民が受ける不利益の内容や程度
  • 騒音の発生とそのの経過
  • その間にとられた騒音を防止するための内容・効果

証拠収集
騒音計による騒音の立証

法的な手段にでる場合には、証拠固めが欠かせません。

裁判を起こして騒音の慰謝料を請求するには、例えば、次の事例・判決が役立ちます。

マンションの上の階に住む幼児の騒ぐ音がうるさく、精神的苦痛を受けたとして、男性が、幼児の父親に240万円の損害賠償を求めた訴訟です。

この裁判で、裁判官は「幼児の騒ぐ音は我慢できる限度を超えていた」として、36万円の支払いを命じています。

判決によると、男性はマンション1階に住んでいましたが、幼児の族が2階に引っ越してきて以降、幼児が室内を走り回ったり跳びはねたりする音に悩まされるようになりました。

そこで、直接、幼児の父親に抗議をしましたが、幼児の父親は「文句があるなら建物に言ってくれ」などと取り合わなかったとのことです。

そこで、男性は騒音計などで音を測り、提訴しました。

判決では、「騒音の程度は50~60デシベルとかなり大きく、深夜に及ぶこともあった。被告は子どもをしつけるなど住み方を工夫し、誠意ある対応をするべきだった」と述べています。

この判例は、騒音などを活用することで、騒音立証できれば、マンションの騒音トラブルについても、実際に裁判を起こして勝訴できる可能性が十分にあることを示してくれています。



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