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アパート・マンションなどの不動産賃貸借契約における原状回復の範囲②―特約と消費者契約法

どこまで原状回復したらいいの?―敷金の精算(取り戻せる敷金の範囲)

敷金に関する賃貸借契約上の特約

敷金返還に関するトラブルが後を絶ちません。

問題の本質は、原状回復、特に修繕の範囲はどこまでか、という点にあります。

この点、民法の規定によれば、敷金とは、家賃滞納や賃借人の不注意による物件の損傷・破損の修繕・修復費用を担保するために賃貸人に預け入れているお金であり、滞納や不注意による損傷等がない限り、退去時には借り主に返還されるべきものとなります。

原状回復の範囲―民法上の原則

 

しかし、契約自由の原則により、民法の規定・条文よりも当事者間の契約の内容の方が優先されます。

したがって、賃貸借契約で借り主にリフォーム・修繕義務があるという特約をして、借り主に特別な修繕義務を課すことは可能です。

つまり、法律の世界には契約自由という大原則があるので、経年変化や通常使用による損耗の修繕費用を賃借人の負担とする特約も有効です。

判例も、特約に合理性があり、借り主がその特約の内容を理解し、合意している場合には有効であるとしています。

 

賃貸借契約に対する歯止め―消費者契約法

この当事者間の特約に対し、消費者契約法が一定の歯止めをかけているというのが基本図式です。

 

民法の世界では契約当事者は皆平等の立場にあるという前提があります。

しかし、現実の社会はそうではありません。

そこで、消費者契約法などの民法の特別法が弱い立場にある者(この場合だったら賃借人)を一定の範囲で守ってくれているわけです。

賃貸人が事業者である場合には消費者契約法が役に立ちます。

 

消費者契約法第10条は次のように定めています。

民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

 

つまり、賃貸借契約書に、賃借人が修繕費用を全部負担のうえ原状回復して返還するなどという特約があっても、賃貸人が事業者である場合には、契約の無効を主張できるというわけです。

ただし、消費者契約法施行後に契約を締結するか、契約を更新していることが必要です。

 

判例にも、自然損耗および通常の使用による損耗についての原状回復を賃借人の負担とする特約がある賃貸借契約消費者契約法施行後に更新された場合について、その特約を消費者契約法10条により無効とし、敷金の全額返還を認めた事例があります。