法治主義―法の支配(実質的法治主義)
法の支配とは 【rule of law】
法の支配の定義・意味・意義
法の支配とは、恣意的な人の支配を排し、治める者(国家権力者)も治められる者(国民)も法(自然法・正義の法)に拘束されるべきであるとする英米系の原理をいいます。
大陸系の形式的法治主義(法治主義)に対して実質的法治主義と呼ばれることもあります。
ただし、本来、実質的法治主義とは法治主義の一種として法内容の適正までも要求する=人権保障を目的とする法治主義を指す概念です。この意味での法治主義(実質的法治主義)は法の支配とほぼ同義となります。
法の支配の趣旨・目的・役割・機能
人権保障
法の支配は人権保障を目的としています。
法の支配の位置づけ・体系
立憲主義の一内容
論者により異なりますが、法の支配は立憲主義の内容の一つとして理解することもできます。
歴史的には、法の支配の観念が立憲主義に取り入れられていったと解することができます。
法の支配の経緯・沿革・歴史など
イギリス
13世紀のマグナ=カルタ
1215年、マグナ=カルタ(大憲章)によって国王の権力が制限されました。
13世紀のブラックトン
13世紀に、裁判官ブラクトンは「国王といえども神と法の下にある」といい、法の支配を主張しました。
17世紀のエドワード=コーク(クック)
17世紀に、権利請願を起草したエドワード=コーク(クック)はブラクトンの言葉を引用して、国王に対して法の支配を要求しました。
19世紀のダイシー
19世紀に、憲法学者ダイシーは法の支配を定式化しました。
アメリカ
19世紀の違憲審査制
イギリスに発祥する法の支配の原理は19世紀のアメリカで違憲審査制に結実しました。
法の支配と関係・関連する概念
反対概念
人の支配
類似概念
法治主義(形式的法治主義)
法の支配は法内容の適正までも要求する原理で、「悪法も法なり」として、制定された法律の内容までは問題としない(形式だけを問題とする。法律万能主義)法治主義とは区別されます。
法の支配 | 法治主義 | |
---|---|---|
別名 | 実質的法治主義 | 形式的法治主義 |
歴史 | 英米系 | 大陸系 |
目的 | 人権保障 | 行政の効率的運用 |
役割 | 市民革命の原理 | 立憲君主制の原理 |
法の規制対象 | 国家権力者・国民 | 国民 |
法の内容 | 自然法・正義の法 | 悪法も法なり |
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