[社会]仕組み・手続き(申請・届出)・内容証明郵便など

日本の社会の仕組みや行政手続き等の方法・仕方・手順などを取り扱います。


担保権(担保物権)の効力―追及効(追及力)


追及効(追及力)とは

追及効(追及力)の定義・意味・意義

追及効(追及力)とは、担保物権効力として、当該担保物権目的財産の所有権が債務者ないし設定者から、第三者に移転した場合であっても、この第三者に対しても、担保物権を主張できることをいいます。

ただし、動産を目的とする先取特権は、公示がないため、例外的に追及効(追及力)が制限されています。

民法 (先取特権と第三取得者) 第三百三十三条  先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡したは、その動産について行使することができない。

追及効(追及力)の理論的根拠

物権とは、物を直接に支配する権利のことです。

「直接に支配する」とは、物権は、債権とは異なり、債務者の行為を必要としないで、自分で直接権利を実現できる、という意味・ニュアンスです。

この物権の直接支配性から、物から排他的に利益を享受することができる、という物権の排他性が導き出されます。

そして、さらに、この物権の排他性の効果として、物権には優先的効力が認められています。

優先的効力とは、他の権利者を押しのけて優先的に権利を実現できる、といったくらいの意味ですが、具体的には、次の2つの内容があります。

  1. 物権相互間の優先的効力…内容が互いに衝突する物権相互間では先に成立した物権がに成立した物権に優先する
  2. 物権の債権に対する優先的効力…原則として物権は債権より優先する

ちなみに債権には排他性はなく、同一の債務者に複数の債権者が存在することができます。

そのため、複数の債権者が存在する場合には、債権は原則として平等の効力をもって並存し、互いに他の債権に優先して弁済を受けることはできません。

そして、担保物権も、優先的効力が認められている物権の一種として、目的物が譲渡されたりして、所有者が変わっても、それに関係なく存続し、目的物に追及していくことができるわけです。

以上、理論構成がやや複雑になりましたが、論理の流れをまとめると、以下のようになります。

物権の直接支配性→物権の排他性→物権の優先的効力担保物権の追及効

ただし、追及効は、あくまで講学上の概念です。

また、学者の中でも、追及効は優先的効力と物権的請求権のいずれかに含まれるものなので、あえて独立して観念する必要はないとする人もいます。



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