民法・消費者契約法・クーリングオフの各取消制度の違い
民法・消費者契約法・クーリングオフによる各契約取り消し制度の比較表
契約を取り消す方法としては、次の3つがあります。
ここでは、この3つの方法の違いを一覧表にしてみます。
民法 | 消費者契約法 | クーリングオフ | |
---|---|---|---|
分類 | 私法 | 私法 | 行政法規 |
取消しの理由 | 無能力(未成年者など)、詐欺、強迫 | 誤認、困惑 | 無条件(理由の如何を問わず) |
対象取引 | 無条件 | 個人消費者と事業者との間で締結される消費者契約(労働契約は除く) | 特定の商取引(訪問販売、内職商法、モニター商法など) |
対象商品 | 無条件 | 無条件 | 指定された商品、役務(サービス)、権利 |
期間 | 追認できる時から5年、契約締結の時から20年 | 追認できる時から6ヶ月、契約締結の時から5年 | 8~20日 |
民法・消費者契約法・クーリングオフによる各契約取り消し制度の関係
民法による取消しと消費者契約法による取消し
民法上の取消し制度では、取消事由(理由)が「詐欺」「強迫」とされています。
これに対し、消費者契約法による契約の取消し制度は、取消事由(理由)が「誤認」「困惑」とされています。
参照 →消費者契約法とは
両者の関係は、次のように考えると分かりやすいかもしれません。
消費者契約法上の取消事由は、民法上の取消事由を限定したものとなっていますが、これを立証(証明)するのは民法より簡単であり、消費者契約法の方が利用しやすい制度であるといえるでしょう。
消費者契約法による取消しとクーリングオフによる取消し
クーリングオフによる取消し制度は、適用対象が3者の中でもっとも限定されていますが、取消事由は無条件であり、一番利用しやすい制度といえます。
まとめ
以上をまとめると、大体次のように図式化して捉えておくと分かりやすいと思います。
一般法 | ← | → | 特別法 | ||
適用範囲 | 民法 | > | 消費者契約法 | > | クーリングオフ |
利用しやすさ | 民法 | < | 消費者契約法 | < | クーリングオフ |
したがって、
まずクーリングオフできないかを考える → 次に消費者契約法 → 最後に民法
という流れで検討すればいいかと思います。
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