取消し
取消しとは
取消しの定義・意味など
取消し(とりけし)とは、法律により所定の場合に認められた、法律行為の効果を否定する一方的意思表示をいう。
取消しの位置づけ・体系(上位概念等)
「取消し」は「無効」とともに法律行為の効果を否定するための法技術である。
取り消すことができる場合
取り消すことができる場合は私法の一般原則たる民法も含め、以下のとおりさまざまな法律により定められている。
- 民法
- 特別法
民法の取消し制度の体系については、小学館『日本大百科全書』を参考
このように法律行為を取り消す根拠となりうる法律は、民法のほかにもまだある。
民法はあくまで一般法なので、他に利用できる法律(特別法)があれば、そちらを活用したほうが利用しやすいといえる。
たとえば、次のページを参照
取消しの要件と効果
取消しの要件・条件
取消しの効果・効力
遡及的無効
取消しの効果として、当該法律行為は最初から無効であったことになる(これを遡及的無効という)。
民法
(取消しの効果)
第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
不当利得法
取消し後の法律関係については、不当利得法(不当利得返還請求権の発生)によって処理されることになる。
つまり、代金などを支払っていた場合には、相手方に対して、代金の返還を請求することができる。
民法
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
取消しと関係する概念
刑法
詐欺罪・脅迫罪
たとえば、詐欺や強迫は刑事上(刑法上)も、詐欺罪や脅迫罪になる。
ただし、民事上、「強迫」が行われたとしても、必ずしも刑事上「脅迫罪」が成立するとは限らない。
そして、民事上の責任と刑事上の責任とはまったく別のものであり、二者択一の関係にあるわけではない。
したがって、場合によっては、刑事告訴も視野に入れたほうがよい場合もある。
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