出入国管理制度―外国人―在留管理―中長期在留者―永住者―特別永住者
特別永住者とは
特別永住者の定義・意味など
特別永住者(とくべつえいじゅうしゃ)とは、特別永住許可により日本に在留する、平和条約国籍離脱者※の子孫で出生その他の事由により入管法に規定する上陸の手続を経ることなく日本に在留する永住者(事実上は韓国人・朝鮮人・台湾人)をいう。
※サンフランシスコ講和条約の発効に際して日本国籍を離脱した者として扱われた者
特別永住者の法的根拠・法律など
日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)
特別永住許可
日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(略称:入管特例法)で特別永住許可が定められている。
日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法
(特別永住許可)
第四条 平和条約国籍離脱者の子孫で出生その他の事由により入管法第三章 に規定する上陸の手続を経ることなく本邦に在留することとなるものは、法務大臣の許可を受けて、この法律に定める特別永住者として、本邦で永住することができる。
特別永住者の目的・役割・意義・機能・作用など
特別永住者は事実上日本の準国民として扱われており、参政権を除けば日本国民とほぼ同等の権利を有している。
特別永住者の特色・特徴
全世代
特別永住許可は平和条約国籍離脱者のすべての世代の子孫に与えられる。
日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法
(定義)
第二条 …
2 この法律において「平和条約国籍離脱者の子孫」とは、平和条約国籍離脱者の直系卑属として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留する者で、次の各号の一に該当するものをいう。
一 平和条約国籍離脱者の子
二 前号に掲げる者のほか、当該在留する者から当該平和条約国籍離脱者の孫にさかのぼるすべての世代の者(当該在留する者が当該平和条約国籍離脱者の孫であるときは、当該孫。以下この号において同じ。)について、その父又は母が、平和条約国籍離脱者の直系卑属として本邦で出生し、その後当該世代の者の出生の時(当該出生前に死亡したときは、当該死亡の時)まで引き続き本邦に在留していた者であったもの
退去強制の特例
入管特例法により、特別永住者については、入管法第24条 の規定による退去強制は制限されている。
再入国の許可の有効期間の特例等
入管特例法により、特別永住者については、再入国の許可の有効期間が延長されている。
特別永住者の注意点・注意事項
時折、犯罪者であっても生活能力がなくても永住許可を受けることができる場合があることを規定した出入国管理及び難民認定法第22条2項但書の規定が一般永住者を特別永住者と差別した規定である等の主張を見受けることがあるが、この解釈は間違っている。
同条項は、「日本人の配偶者または子」または「一般永住者の配偶者または子」または「特別永住者の配偶者または子」に限っては、犯罪者であっても生活能力がなくても永住許可を受けることができる(一般永住者になることができる)とした規定で、一般永住者と特別永住者に何ら「差別」等はない。
「日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合」という箇所の条文は間違いやすいが、この箇所は"(「日本人」 or 「一般永住者」 or 「特別永住者」)の「配偶者または子」"という、いわば因数分解のかたちになっており、「日本人」「一般永住者」「特別永住者」はそれぞれ「配偶者または子」に係る。
出入国管理及び難民認定法
(永住許可)
第二十二条 在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し永住許可を申請しなければならない。
2 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては、次の各号に適合することを要しない。
一 素行が善良であること。
二 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。
特別永住者の歴史・沿革・由来・起源・経緯など
https://ja.wikipedia.org/wiki/特別永住者
1955年(昭和30年)
1955年、当時の小泉純也法務政務次官は国会において、在日朝鮮人らは、母国に帰りたいという者が一人もいないと言える状態で、一方半島からは手段・方法を選ばず、命がけでどんどん密航をしてきており、日本が彼らを強制送還をしようとしても、韓国政府はこれを受け入れない為、日本に入れっぱなし状態であり、朝鮮戦争で密航してきた者等を収容していた大村収容所も人員がいっぱいで、入国管理局だけでは手に負えない状況であることを答弁している。 また1959年の朝日新聞によれば、在日韓国朝鮮人は日本政府や連合国の手配を拒んで自ら残留したものである。
1965年(昭和40年)
1965年、日韓基本条約締結に伴い締結された在日韓国人の法的地位(協定永住)について定めた日韓両国政府間の協定(日韓法的地位協定)により在日韓国人に「協定永住」という在留資格が認められた。これは国外退去に該当する事由が他の外国人と比べて大幅に緩和されたもので、資格は2代目まで継承できることとし、3代目以降については25年後に再協議することとした。
1991年(平成3年)
1991年、入管特例法により3代目以降にも同様の永住許可を行いつつ、同時に韓国人のみが対象となっていた協定永住が朝鮮籍、台湾籍の永住者も合わせて特別永住許可として一本化された。
特別永住者の位置づけ・体系(上位概念等)
一般永住者
特別永住者
法定特別永住者
第二次大戦以前から居住する在日朝鮮人・台湾出身者とその子孫は法定特別永住者(入管特例法※第3条の特別永住者)とされている。
※正式名称は「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」
三省堂 『スーパー大辞林』
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