損害賠償の対象となる損害―精神的損害
精神的損害とは
精神的損害の定義・意味・意義
精神的損害とは、法律上保護に値する利益(財産権や生命、身体、名誉などの人格的利益)の侵害によって生じた精神上の損害(不利益)のことで、財産的損害に対する概念です。
民法は、精神的損害も損害賠償の対象となると明文で規定しています。
民法
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
精神的損害の範囲・具体例
精神的損害とは、具体的には、苦しみ、悲しみのことです。
精神的損害の判断基準・判定基準・認定基準
精神的損害は、生命、身体、名誉などの人格的利益が侵害された場合には当然に生ずるものと認められています。
また、人格的利益が侵害された場合に限らず、財産権が侵害された場合にも認められる場合があります。
精神的損害の位置づけ・体系
私法の一般法である民法では、故意・過失で他人の法律上保護に値する利益を侵害した者は、これによって生じた損害(不利益)を賠償する責任がある、という不法行為法の制度を定めています。
この損害賠償の対象となる損害(不利益)は、次の2つに大別されます。
- 財産的損害…財産上の不利益
- 精神的損害…精神上の不利益
精神的損害の特色・特徴
損害賠償は金銭で行うのが原則です。
民法
(損害賠償の方法)
第四百十七条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。
積極的損害では、その金額は一定の基準で定められます。
これに対して、精神的損害では、(最終的には)裁判官の自由裁量で決定されます。
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