賠償額の予定―具体例―レンタルCD・DVDの延滞料金
賠償額の予定の具体例―レンタルCD・DVDの延滞料金
レンタルCD・DVDの延滞料金の法的性格・性質―賠償額の予定
CDやDVDなどのレンタル店との契約は賃貸借契約に該当します。
この場合、借主は定められた期限内にレンタルしたCDやDVDなどを返却する義務があります。
借主が期限内に返却しなかった場合は債務不履行になり、返却が遅れたことによりレンタル店に与えた損害を賠償する責任が生じます。
ただし、レンタル店では、損害の立証の負担を軽減するために、返却が遅れた場合の1日あたりの延滞料金を会員規約などであらかじめ定めています。
これは、民法が定める賠償額の予定に該当します。
レンタルCD・DVDの延滞料金の効果・効力
原則
レンタルCD・DVDの延滞料金に関する規約は、賠償額の予定として、有効です。
したがって、レンタル店は、損害の発生やその金額を証明しなくても、延滞した人に対して、延滞料金を請求することができます。
例外―無効となる場合
ただし、延滞料金を支払わなくてもよい場合もあります。
購入価格を超える延滞料金
消費者契約法10条では、信義誠実の原則に反して、消費者の利益を一方的に害する条項は、無効としています。
消費者契約法
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
レンタルしたCD・DVDの返却期間が大幅に遅れた場合には、レンタル店側は新しいCD・DVDを購入すれば損害の拡大を防止することができます。
それをしないで、高額な請求をすることは、「民法第一条第二項に規定する基本原則」=信義誠実の原則に反しているといえるでしょう。
たとえば、かりに返却期限から1年をすぎている場合、延滞料金が1日あたり200円であれば、延滞料金の合計=365日×200円=7万3千円となります。
CD・DVD自体が数千円であることを考えると、これは不当に高額な金額といえます。
よって、レンタルしたCDやDVDの購入価格を超える延滞料金に関する規約は、消費者契約法により無効になると考えられます。
したがって、どんなに返却期間が遅れたとしても、実際に支払わなければならない延滞料金は、レンタルしたCDやDVDの購入価格を限度にするべきことになります。
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