行為能力―制限行為能力者
制限行為能力者とは
制限行為能力者の定義・意味・意義
制限行為能力者とは、行為能力が制限された者、つまり、権利・義務を持つための行為=法律行為(たとえば、契約など)を一人では完全にできない者をいいます。
たとえば、制限行為能力者が一人で契約をしても、所定の保護者の同意がなければ、後から取り消されて無効になる可能性があります。
制限行為能力者の経緯・沿革・歴史など
無能力者・行為無能力者
制限行為能力者は、かつては無能力者とか行為無能力者と呼ばれていました。
制限行為能力者の分類・種類
民法では、制限行為能力者として次の4つの類型を設けています。
- 未成年者
- 成年被後見人
- 被保佐人
- 被補助人
制限行為能力者の位置づけ・体系
民法上、行為能力を含め、次のように様々な種類の能力について規定されています。
このうち、行為能力については、これを完全に有している行為能力者と行為能力を制限されている制限行為能力者に分類されています。
行為能力の制度の趣旨・目的・役割・機能
制限行為能力者の保護
行為能力の制度においては、行為能力者より、むしろ行為能力の制限を受ける者=制限行為能力者の方に重点があります。
すなわち、近代の法制度では、すべての人間(自然人)に平等に権利能力を認めます。
そして、この平等な個人間では、私的自治の原則が貫きます。
自らの意思で権利を取得し、義務を負担できるというわけです。
ただし、責任が生じる前提として、取引活動をするに足りるだけの精神的能力(「事理を弁識する能力」=意思能力)を備えていることが必要です。
意思能力がない人が行った法律行為は無効です(これも私的自治の原則の一つの帰結です)。
しかし、意思能力の有無は、個別的・具体的に判断しなければならないため、契約をしたときなどに意思能力がなかったことを立証することは非常に困難です。
そこで、取引をする能力が劣る者を保護するため、取引をする能力が劣る者を形式的な基準で画一的に定め、行為当時に具体的に意思能力があったかどうかを問わず、一律に法律行為を取り消すことができるものとしました。
これが行為能力の制度趣旨です。
したがって、逆にいえば、契約をする際には、その相手方が行為能力者であるか制限行為能力者であるかは、重要なポイントとなります。
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 4 ページ]
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ