能力―分類―意思能力
意思能力とは
意思能力の定義・意味・概念
したがって、意思能力がない人の行った意思表示は無効ということになります。
通常、意思能力は、「自己の行為の結果を弁識するに足りる能力」と定義されています。
つまり、「自己の行為」(=法律行為)の結果、権利を有し、義務を負うことになる、ということを理解できること、といったくらいの意味です。
意思能力の制度の趣旨・目的・役割・機能
私的自治の原則が適用される前提
人(自然人)であれば当然に権利能力が認められています(=権利義務の帰属主体となることができます)。
そして、近代私法の三大原則の一つとされる私的自治の原則は、自由・平等な個人が、自らの意思により権利義務関係(=法律関係)を成立させることができる、という原則です。
この私的自治の原則は、各個人が、権利を有し、義務を負うのに足りるだけの意思を持っていること(=意思能力があること)を、その論理的な前提としています。
意思無能力者の個別具体的な保護
したがって、権利を有し、義務を負うのに足りるだけの意思がないと認められる人=意思無能力者(意思能力を欠く人)は、私的自治の原則適用の前提を欠くために、これを保護する必要があります。
意思能力の制度は、意思無能力者を保護するために、権利能力の制度から独立分化したものです。
意思能力の位置づけ・体系
意思能力を含め、次のように様々な種類の能力があります。
意思能力の有無の判断基準
個別具体的判断
一般的には、10歳未満の幼児や泥酔者などは意思能力がないとされていますが、意思能力の有無は、問題となっている行為ごとに個別具体的に判断されます。
なお、個々のケースで意思能力があるかどうかが判断されるということは、判断能力が十分ではない者の保護に欠ける場合が出てくるとともに、取引の安全を害するおそれもあります。
そこで、個別具体的に、ではなく、類型的・画一的に判断できるようにした制度が制限行為能力者の制度です。
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