先取特権―分類・種類―動産の先取特権(動産先取特権)
動産の先取特権とは
動産の先取特権の定義・意味・意義
先取特権には、その目的物の違いにより、次の3つの種類があります。
このうち、動産の先取特権とは、次に掲げる原因によって生じた債権を有する人に認められる、債務者の特定の動産を目的とする先取特権をいいます。
民法 (動産の先取特権) 第三百十一条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
一 不動産の賃貸借
二 旅館の宿泊
三 旅客又は荷物の運輸
四 動産の保存
五 動産の売買
六 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七 農業の労務
八 工業の労務
なお、民法上は、「動産の先取特権」と呼称されていますが、動産先取特権とも呼ばれることがあります。
1.動産の先取特権の被担保債権
次の債権をもっている人には、法律上当然に動産の先取特権が成立し(法定担保物権)、その債権が、債務者の特定の動産により、担保されることになります。
2.動産の先取特権の目的物
つまり、債権が弁済されない場合は、債務者の特定の動産を対象に競売にかけて、その競売代金から、他の債権者より優先して弁済を受けることができます。
動産の先取特権の順位
一般の先取特権との関係
動産の先取特権は、一般の先取特権より、優先されます。
民法 (一般の先取特権の順位) 第三百二十九条 2 一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。
動産の先取特権の競合
同じ動産に、動産の先取特権が成立して競合する場合は、次の順位となります。
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