株主名簿―効果・効力
株主名簿の効果・効力
株主名簿の効果・効力として、株主名簿に株主と記載・記録された者だけが、会社との関係では株主として取り扱われることになります。
具体的には、株主名簿への記載・記録(名義書換といいます)は次のような効力を有しています。
1.対抗力(会社その他の第三者に対する対抗要件)
株式の譲渡は、当事者間では株券の交付などによって行われますが、会社や第三者に対する関係では、株式の譲受人(取得者)が会社等に対して自分が株主であることを会社等に対して主張する(株主の権利を行使する)ためには、株主名簿にその氏名等を記載・記録(=名義書換)してもらう必要があります。
つまり、株式の譲渡については、株式名簿の記載・記録が会社やその他の第三者に対する対抗要件になっているということです。
正確には、株券不発行の会社の場合と株券発行会社の場合とでは、次のような違いがあります。
しかし、いずれにせよ会社に対しては株主名簿への記載・記録が対抗要件となります。
したがって、株式譲受人(取得者)は株主名簿に記載・記録しなければ議決権などの株主の権利を行使することはできません。
会社法
(株式の譲渡の対抗要件)
第百三十条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。
2.資格授与的効力
株主名簿に記載・記録されていれば、権利者であると推定されます。
会社法により株券を占有している(持っている)者は権利を適法に有するものと推定されますが、株主名簿の制度は名簿の記載・記録をもって株券の呈示に代える制度だからです。
会社法
(権利の推定等)
第百三十一条 株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定する。
したがって、株主は株主名簿に記載・記録されると、その後は真の権利者であることを証明しなくても、会社に対して株主たる地位を主張できるので、株券さえ提示することなく権利を簡単に行使することができるようになります。
3.免責的効力
会社は株主名簿にしたがい名簿に記載・記録されている者を株主として扱えば(権利を行使させれば)、その者がたとえ無権利であっても、悪意重過失がないかぎり免責されます(手形法第40条3項類推)。
4.その他
会社から株主に対する通知・催告
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