不法行為―効果―原則―損害賠償請求権(不法行為に基づく損害賠償請求権)―デメリット
一般不法行為に基づく損害賠償請求のデメリット
一般不法行為の規定は、不法行為制度の原則的規定であるが、被害者にとっては、次の2つの点において、デメリットがある。
1.被害者が加害者の故意または過失の立証責任を負う
一般不法行為は、故意または過失により、他人の権利・利益を侵害した加害者は被害者にその損害賠償義務を負うという制度である。
つまり、加害者に「故意または過失」があったことが要件のひとつとされているところ、民事訴訟上、自己に有利な法律効果の発生を求める者は、その要件について立証責任を負うものとされている。
したがって、「故意または過失」があったことの証明は被害者がしなくてはならないことになる。
この立証は面倒なものである。
なお、民法714条以下や特別法では、特殊不法行為として、立証責任を転換したり(つまり、加害者が故意過失がないことを立証しなければならない)、無過失責任を認めたりしている。
2.被害者が損害賠償を請求できる相手が限られている
不法行為制度は、原則として、加害者以外の責任を追求することはできない。
なお、民法715条では特殊不法行為の一類型として、使用者責任を認めている。
また、特別法、たとえば、交通事故の人身事故で適用される自動車損害賠償保障法(いわゆる自賠法)では、賠償責任を直接の加害者だけでなく、その車を支配している者にも負わせて、請求できる人的範囲を拡大している。
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