[社会]仕組み・手続き(申請・届出)・内容証明郵便など

日本の社会の仕組みや行政手続き等の方法・仕方・手順などを取り扱います。


民事上の責任―損害賠償責任―適用される法律―自動車損害賠償保障法(自賠法)


自動車損害賠償保障法とは

自動車損害賠償保障法の定義・意味・意義

自動車損害賠償保障法とは、人身事故(死亡事故と傷害事故)の交通事故の場合における損害賠償を保障して、被害者を保護するための法律です。

自賠法などと呼ばれています。

同法により、自動車および原動機付自転車を使用する際に加入が義務づけられている損害保険(強制保険)が自動車損害賠償責任保険通称自賠責保険)です。

自動車損害賠償保障法の位置づけ・体系(趣旨・目的・機能)

民法が制定された明治29年においては、当然、交通事故・自動車事故などは想定されていません。

そのため、今日のように交通事故が多発するようになると、加害者の故意・過失を要件とする(したがって、またその立証責任は被害者が負う)民法では、十分に被害者を保護することはできません。

そこで、人身事故の被害者をより厚く保護するため、民法の不法行為制度の特則として、自動車損害賠償保障法が制定されました。

自動車損害賠償保障法の適用対象・適用範囲

自動車損害賠償保障法が適用されるのは、死亡事故や傷害事故といった人身事故に限られます。

物損事故の場合は、原則どおり、民法の不法行為責任で損害賠償を請求することになります。

自動車損害賠償保障法の特色・特徴

自動車損害賠償保障法は、次の2つの大きな特色があります。

  1. 無過失責任主義
  2. 運行供用者責任

1.無過失責任主義

自動車損害賠償保障法の最大の特色は、民法の不法行為法(709条)の過失責任主義・被害者の立証責任を、無過失責任主義・加害者の立証責任としたことです。

ただし、正確には、 無過失責任主義そのもの(絶対的無過失責任主義)ではなく、無過失責任主義に近い相対的無過失責任主義(中間的責任)です。

すなわち、交通事故の加害者になったからといって、必ず民事上の責任(損害賠償責任)を負うわけではありません。

しかし、自動車損害賠償保障法は、被害者保護の見地から、交通事故の加害者が免責となる要件・条件として次の3つをあげ、これらをすべて加害者側が立証しなければならないとしています。

  1. 自己と運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと
  2. 被害者または第三者に故意・過失があったこと
  3. 自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと

加害者はこの3つの要件すべてを立証できれば、損害賠償責任はないわけですが、この立証は事実上不可能に近いものです。

つまり、実際には加害者の免責はほとんどないといえるので、その意味で無過失責任主義といわれるわけです。

2.運行供用者責任

さらに、自動車損害賠償保障法では、損害賠償責任を運転者や使用者だけでなく、運行供用者にも負わせています。

これにより、被害者はさらに損害賠償を請求しやすくなっています。



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