不法行為―要件(不法行為の成立要件)
不法行為の成立要件
不法行為(一般不法行為)については、民法は次のように規定している。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
この条文を分解して不法行為責任が認められるための要件を探ってみると、次のようになる。
また、民法712条・713条により、不法行為責任が成立するには責任能力があることが必要とされている。
したがって、不法行為の成立要件は次の5つになる。
- 故意または過失のある行為であること
- 他人の権利または法律上保護される利益を侵害したこと
- 損害が発生していること
- 行為と損害との間に因果関係があること
- 行為者に責任能力があること
1.故意または過失のある行為であること
過失責任主義
民法の原則は、過失責任主義である。
不法行為法にもこの原則の適用があり、原則として、故意または過失がなければ不法行為責任を負うことはない。
なお、過失とは何か、については別途難しい議論がある。
2.他人の権利または法律上保護される利益を侵害したこと
3.損害が発生していること
4.行為と損害との間に因果関係があること
相当因果関係
この因果関係は、いわゆる相当因果関係を意味する。
立証責任・証明責任
故意・過失をはじめとする上記要件事実の立証責任は、原則として原告である被害者にある。
医療事故での損害賠償請求などでは、特に因果関係の存在の立証がネックになる。
また、損害額も具体的に認定する必要がある。
その他、現実に損害賠償してもらうには、被告である加害者に支払い能力があるのか(どんなに法律で強制しようが払えないものは払えない)、過失相殺は、など現実的な問題をクリアする必要がある。
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