別居―基本知識―生活費の要求―婚姻費用分担請求権②―事後
婚姻費用分担請求とは
夫が浮気をして愛人をつくり出て行った(あるいは、妻が出て行った)ため、現に別居中であっても、婚姻中である限り、夫は妻に必要な生活費を渡さなければならず、妻はそれを要求する権利があります。
これを婚姻費用分担請求権といいます。
別居した夫が生活費を入れてくれない場合の方策(対応方法・対処法・手段)
1.当事者間の話し合い・交渉
当事者間の話し合いで問題解決を図るのが基本です。
ただし、話し合いとはいっても、相手方との戦い・取り引きや駆け引きですので、圧力をかける必要がある場合もあります。
ここにいう圧力とは、例えば、「法的措置をとるぞ」ということです。民事事件・家事事件であれば、裁判を利用するといった内容になります。
そのための一つの効果的なツール・方法として、内容証明郵便があります。
2.裁判所を利用する
家事調停
夫が生活費の支払いに応じなければ、家庭裁判所に婚姻費用分担の調停という手続きを申し立てることができます。
この家事調停の手続きでは、裁判所の仲介で当事者間の話し合いで問題を解決します。
家事審判
調停での話し合いにより問題が解決しなかった場合には、審判手続きに移行します。
この家事審判の手続きでは、当事者間の話し合いではなく、裁判所の決定というかたちで、「毎月いくらを支払え」といった内容の審判が下されます。
支払金額は、主に双方の収入を考慮して決定されますが、婚姻費用分担額の算定表がありますので、簡単に金額の目安を確認することができます。
また、審判が出るまでは、相当日数を要しますので、審判前でも、とりあえず応分の生活費を支払えとの仮処分を裁判所に出してもらうこともできます。
相手方が調停や審判の結果を守らない場合
履行勧告・履行命令
相手方が調停や審判で取り決められた義務を履行しない場合には、家庭裁判所に申し出て、履行勧告や履行命令を出してもらうことができます。
履行勧告とは、義務を履行しない当事者に対し、その履行を勧告することです。
また、履行命令とは、、義務を履行しない当事者に対し、その履行を命じることです。
強制執行
履行勧告や履行命令を出してもらっても効果がない場合は、給料など夫の財産を差し押さえる強制執行の手段によることも可能です。
履行命令や履行勧告の制度を利用せず、すぐに強制執行の手続きに入ることも可能です。
夫婦関係調整調停の申し立てをする
もう一度よりを戻したいという気持ちがあれば、以上の生活費の要求と並行して、夫婦関係調整調停の申し立てをすることもできます。
この調停手続きでは、調停委員が夫婦双方から話を聞いて、問題点を探り、双方に解決のための助言をするというかたちで問題解決が図られます。
また、反対に離婚の調停の申し立てをすることもできます。
3.愛人に対して慰謝料を請求する
不貞関係にある愛人に対しては、離婚していなくても、慰謝料を請求することもできます(民法上の不法行為請求権)。
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 3 ページ]
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ