解除―類似制度―解約
解約とは
解約の定義・意味・意義
解約とは、賃貸借・雇用・委任などのような継続的契約関係を、契約当事者の一方の意思表示によって、将来に向かって消滅させることをいいます。
解約と解除との違い
解除と解約は似たような制度ですが、解除では、契約が遡及的に消滅する(=契約がはじめからなかったことになる)のに対して、解約では、将来に向かって消滅するだけであるという点で両者は異なっています。
つまり、解除では、その効果として、契約は遡及的に消滅することになります(直接効果説 判例・通説)。
したがって、すでに履行済みの債務については、不当利得として原状回復義務が発生します。
たとえば、雇用契約の場合にも、解除の原則を貫くと、労働した分は返してもらい(実際問題としてどうやって返せばいいのかは不明ですが…)、もらった賃金は返還する…などの複雑な法律関係が発生します。
しかし、これは明らかに不都合で妥当な処理ではありません。
そこで、雇用契約のような継続的契約関係については、解除の効果を、(遡及させる、つまり過去に遡らせることはしないで)将来に向かってのみ契約が消滅するものと限定する必要があるわけです。
このように効力が将来に限定されている解除を、特に解約と呼んで区別しています。
ただし、民法上は、解約であっても「解除」という用語を使用している場合があります。
民法
(賃貸借の解除の効力)
第六百二十条 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に過失があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない。
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