不動産登記法上の用語の定義―表示に関する登記
表示に関する登記とは
表示に関する登記の定義・意味・意義
表示に関する登記とは、不動産の物理的状況、すなわち、不動産の表示に関する登記をいいます。
不動産登記法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
…
三 表示に関する登記 不動産の表示に関する登記をいう。
表示に関する登記の位置づけ・体系
不動産登記の制度の趣旨は、不動産の物理的状況と権利関係を不動産登記簿に登記して公示することで不動産取引の安全を図る点にあります。
そのため、不動産登記は、不動産の物理的状況、すなわち、不動産の表示に関する登記(→表示に関する登記)と、不動産の権利関係に関する登記(→権利に関する登記)とに大別されます。
- 表示に関する登記
- 権利に関する登記
なお、これに対応して、不動産登記簿は、土地、建物ともに表題部と権利部に区分されており、表示に関する登記は表題部に、権利に関する登記は権利部に記録されます。
権利部は、さらに甲区と乙区に区分されます。そして、甲区には所有権に関する事項、乙区には所有権以外に関する事項が記録されます。
公示される情報 | 登記事項の種類 | 登記の種類 | 登記簿の区分 |
---|---|---|---|
不動産の物理的状況 | 不動産の表示 | 表示に関する登記 | 表題部 |
不動産の権利関係 | 権利に関する登記 | 権利部 |
表示に関する登記の特色・特徴
表示に関する登記は、不動産の表示、すなわち、単に不動産の物理的状況を公示するものにすぎないので、次のような特色があります。
対抗力
登記には、原則として対抗力があります。
しかし、表示に関する登記は、対抗力はありません。
当事者申請主義
私的自治の原則から、不動産登記は「当事者の申請」により行われるのが原則です(→当事者申請主義(不動産登記))。
ただし、表示に関する登記にあっては、当事者に申請義務があり、また、登記官は職権により登記を行うこともできます。
不動産登記法
(土地の表題登記の申請)
第三十六条 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
登記官の審査権
登記官には、原則として、形式的審査権(当事者から提供された書面、情報と登記記録の内容のみを審査対象とする窓口審査)しか認められていません。
しかし、表示に関する登記については、実質的審査権が認められています。
不動産登記法
(登記官による調査)
第二十九条 登記官は、表示に関する登記について第十八条の規定により申請があった場合及び前条の規定により職権で登記しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。
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