登記の諸原則―当事者申請主義(不動産登記)
当事者申請主義とは
当事者申請主義の定義・意味・意義
不動産登記とは、不動産取引の安全を図るために、不動産の物理的状況と権利関係を不動産登記簿に記録して公示することをいいます。
では、一体誰が登記をするのでしょうか。
この点、不動産登記法は、次のように定めています。
不動産登記法
(当事者の申請又は嘱託による登記)
第十六条 登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。
つまり、登記は、「当事者の申請」または「官庁若しくは公署の嘱託」により、行われるということです。
ただし、「官庁若しくは公署の嘱託」により行われる登記は、法令に規定がある場合にのみなされるものであって、不動産登記は「当事者の申請」により行われるのが原則です。
このように、登記は当事者によりなされるという原則を当事者申請主義といいます。
当事者申請主義の趣旨・目的・機能・役割
したがって、不動産登記は、商業登記のように強制登記ではありません。
つまり、登記をするかどうかは、当事者の任意に任されていて、申請義務はありません。
とはいっても、登記をしないと、対抗力がない(=第三者に権利を主張できない)ため、不利益を受ける可能性はあります。
ただし、これは、権利に関する登記についてあてはまる原則であり、表示に関する登記にあっては、当事者に申請義務があります。
登記申請の手続き
登記は、国等が職権で行なってくれるのではなく、自分で申請して行わなければならないわけです。
一般的には、司法書士に依頼することが多いのでしょうが、登記申請は、決して専門家でなければできないような難解な手続きではありません。
それに、司法書士に依頼すると、手数料がかかります。
一般の人でも、本やネット(当サイトのような)で知識を得て、自分で行うことは十分に可能です。
しかし、不動産登記の場合は、特に不動産売買による所有権移転登記などになりますと、取引の相手方がいますので、第三者である司法書士に依頼することになるでしょう。
ただし、ある程度の知識があれば、司法書士に依頼しなくても自分で行える登記もありますし、また、オンライン申請により、登記申請業務は身近なものとなりつつあります。
不動産登記申請の具体的な手続きについては、次のページを参照してください。
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