敷金とは―敷金・保証金・権利金・礼金の違い
退去時の敷金返金に関するトラブルが急増しています。
ここでは、敷金を返済(返却)してもらうには正確な法的知識で理論武装しておく必要があります。
まずは敷金に関する基本知識を身につけておきましょう。
敷金・保証金・権利金・礼金とは(敷金・保証金・権利金・礼金の違い)
敷金とは(保証金とは)
まず、敷金の意味についてですが、『法律学小辞典』によると、敷金とは「不動産、特に家屋の賃借人が、賃料その他の債務を担保するために、契約成立の際、あらかじめ賃貸人に交付する金銭」(民法第316条・619条)とされています。
保証金と呼ばれることもありますが、その意味は同じです。
権利金とは(礼金とは)
これに対し、権利金とは地域的慣行として賃貸借契約を結ぶときに借主が大家に対してお礼として支払うもので、礼金と呼ばれることもあります。
敷金(保証金)と権利金(礼金)との違い
したがって、敷金・保証金は、権利金・礼金とは異なり、賃貸借契約が終了した場合に、賃借人の家賃など債務未払いや原状回復債務などを清算した上返還されるべき性質のものです。
そこで、争いとなるのは、この清算の範囲、特に原状回復の範囲(賃借人はどの程度原状回復する義務があるのか)という点です。
なお、敷金を返還してもらうためにはまずは借りていた不動産、建物を先に明け渡しておく必要があります(判例)。
※敷金の交付・返還については、敷金契約として本体の賃貸借契約とは別個独立の契約とされています。
補足―敷引金(敷金償却)とは
最後に、関西などに見られる敷引金という制度について補足しておきます。
敷引金とは敷金のうち原状回復にかかる費用は請求しない代わりに一定金額は賃借人に返済しないというものです。
敷金償却と呼ばれることもあります。
※法律的には損害賠償の予定(民法第412条)という性質のものであると解されます。
ただし、裁判所は一定の場合、消費者契約法により敷引特約を無効する判決を下しています。
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- 敷金返還トラブルを解決するための方策(対応方法・対処法・手段)―国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」など
- 敷金返還請求の内容証明書の書式・文例・テンプレート01
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