[社会]仕組み・手続き(申請・届出)・内容証明郵便など

日本の社会の仕組みや行政手続き等の方法・仕方・手順などを取り扱います。


原則―近代私法の三大原則―過失責任主義(過失責任の原則)―無過失責任主義


無過失責任主義とは

無過失責任主義の定義・意味・概念

絶対的無過失責任主義

無過失責任主義とは、過失責任主義に対する概念として、損害の発生につき、故意・過失がなくても損害賠償責任を負うという原則をいいます。

この意味での無過失責任主義を絶対的無過失責任主義と呼ぶことがあります。

相対的無過失責任主義

絶対的無過失責任主義のもとでは、故意・過失の立証責任は被害者が負うことになります。

民事訴訟法には、権利の発生・変更・消滅を主張する当事者が、それぞれの法律効果を規定する条文の要件事実について挙証責任を負う、というルールがあるからです。

しかし、被害者に立証責任を負わせることが、公平の見地から妥当ではない(被害者に酷である)という場合があります。

そこで、特別規定によって、故意・過失の立証責任(挙証責任)を被害者から加害者に転換し(これを「挙証責任の転換」と呼びます)、加害者が無過失を立証しない限り損害賠償責任を免れないとすることがあります。

これを相対的無過失責任主義中間的責任)と呼んで、無過失責任主義に含める場合があります。

この場合も実際には、無過失の立証による免責が困難なため、無過失責任主義に近いからです。

無過失責任主義の趣旨・目的・機能

自由と平等を理念とする近代においては、個人の自由な活動を保障するために、過失責任主義が原則とされています。

すなわち、故意・過失がある場合にだけ損害賠償責任を負うというのが原則です。

しかし、資本主義の発達に伴い、公害や交通事故が発生するようになると、過失責任主義では被害者の救済に不十分となりました。

そこで、無過失責任主義を採用する立法が増えてきました。

無過失責任主義の表れ・具体例

絶対的無過失責任主義

民法の特殊不法行為の一つである「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」(民法717条)は、絶対的無過失責任主義です。

相対的無過失責任主義

相対的無過失責任主義には、民法では、特殊不法行為の一つである責任無能力者の監督義務者等の責任(民法714条)や使用者責任(民法715条)があります。

また、特別法では、自動車損害賠償保障法(いわゆる自賠法)が定める人身事故の加害者の損害賠償責任などがあります。



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