原則―近代私法の三大原則―私的自治の原則―法律行為自由の原則―契約自由の原則
契約自由の原則とは
契約自由の原則の定義・意味・概念
契約自由の原則とは、個人の契約関係は、契約当事者の自由な意思によって決定されるのであって、国家は干渉してはならないという私法の原則です。
これは、いわゆる警察国家・夜警国家という自由主義的な近代国家観でもあります。
契約自由の原則の位置づけ・体系
近代私法の三大原則の一つに、自由・平等な個人が、自らの意思により法律関係(権利義務関係)を形成できるという私的自治の原則があります。
この私的自治の原則から派生する原則の一つとして、法律行為自由の原則があります。
この原則の一つに位置づけられるのが、法律行為のなかでももっとも重要な契約に関する契約自由の原則です。
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契約自由の原則の内容
契約自由の原則は、次の4つをその内容としています。
- 契約を締結するかどうかについての自由(契約締約の自由)
- どのような相手方と契約をするかについての自由(相手方選択の自由)
- どのような内容の契約をするかについての自由(契約内容の自由)
- どのような方式による契約をするかの自由(契約方式の自由)
契約自由の原則の趣旨・目的・機能・役割
契約自由の原則は、近代資本主義社会において、自由な商品交換や労働力提供を保障し、その発展を支えてきました。
しかし、 19世紀後半からの資本主義の高度化に伴い、形式的に自由・平等な個人を前提とする契約自由の原則は、実質的な不平等を社会にもたらしはじめました。
そこで、実質的な平等を達成して、経済的・社会的弱者を保護するため、国家が積極的に介入するようになりました。
つまり、契約自由の原則を修正するための、さまざまな社会法が制定されるにいたったわけです。
いわゆる福祉国家の登場です。
たとえば、日本では、私法の一般ルール・原則である民法の修正・例外として、労働基準法や借地借家法などが定められています。
私的自治の原則・法律行為自由の原則・契約自由の原則の根拠法令・法的根拠・条文など
民法第91条は、次のように規定しています。
(任意規定と異なる意思表示)
第九十一条 法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
簡単な内容でつい読み過ごしてしまうような規定ですが、私的自治の原則等を明文で規定している非常に重要な条文です。
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