合同会社―機関
合同会社の機関
合同会社では、株式会社のように、会社法上、株主総会、取締役、取締役会、代表取締役、監査役などといった機関の設置が義務づけられていません。
したがって、また議事録の作成も義務づけられていません。
あるいは、合同会社では、業務の意思決定や執行を行ううえで、機関として分化していない、ともいえます。
合同会社では、原則として、各社員が業務を執行し(←取締役)、その意思決定は社員の過半数をもって行われます(←株主総会や取締役会)。
ただし、例外的に、定款で、業務執行社員を定めて、一部の社員を業務執行から除外することもできます。
この場合は、業務執行は、業務執行社員の過半数をもって決定することになります。
また、外部的にも、社員は、原則として、単独で会社を代表します(←代表取締役)。
業務執行から除外された社員は除きます。
ただし、例外的に、定款または定款の定めに基づく社員の互選によって、会社の代表者を定めることもできます。
さらに、業務執行権のない社員も含め、すべての社員に、会社の業務と財産の状況を調査する権限が認められています(←監査役)。
つまり、合同会社では、原則として、各社員の全員が取締役・監査役等であり、役員ということです。
そして、会社の代表者は代表取締役ではなく、代表社員という肩書きになります。
株式会社では、定時株主総会を開催したり、取締役になる人を確保する必要があります。
旧商法では、3人以上の取締役が要求されていましたため、株式会社を設立するために、形式的に(書類上)取締役となってくれる人を探すなどといったことも行われていました。
しかし、ごく小規模で所有と経営が一致しているような会社形態(合名会社や合資会社といった人的会社)では、こうした作業は無駄としかいいようがありません。
合同会社についても有限責任の特権こそ認められているものの、その実態は合名会社や合資会社といった人的会社なので、やはり、こうした無駄な作業を省くことができるものとされているわけです。
よく混同している人が多いようなのですが、合同会社では、旧民法やかつての有限会社法で規定されていた社員総会といった類の機関の設置も必要ではありません。
合同会社は社会的認知度がまだまだ低いため(2012年時点)、各種公的機関や税理士等といった専門職の方でさえ、当然・当たり前という感じで、合同会社の「社員総会」の議事録を作成・提出してください、などと言う場合があります。
もちろん、合同会社の内部関係については、広く定款自治に委ねられていますので、定款で社員総会を設置し、独自の運用を決定するのも自由ですが…
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 4 ページ]
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ