社員・従業員を採用した(雇った)場合の手続き―内部的な手続き―法定帳簿(法定三帳簿)
法定帳簿とは
法定帳簿の定義・意味・意義
法定帳簿とは、法律上(労働基準法)、作成することが義務づけられている、次の3つの給与関係の帳簿をいいます。
法定帳簿の別名・別称・通称など
法定三帳簿
法定帳簿は、法定三帳簿とも呼ばれます。
法定帳簿の位置づけ・体系
会社・個人事業主は、社員・従業員を採用した場合、法定帳簿を作成しなければなりません。
法定帳簿の根拠法令・法的根拠・条文など
労働基準法
労働者名簿と賃金台帳は、それぞれ労働基準法第107条、108条にその根拠条文があります。
これに対して、出勤簿については、これを定めた明確な条文はありません。
しかし、賃金台帳を作成するには労働時間数等を把握する必要がありますので、出勤簿はやはり事業所には備え付けておく必要があります。
しいて言えば、賃金台帳の整備を義務づけた労働基準法第108条や109条が出勤簿の根拠条文といえるでしょう。
法定帳簿の趣旨・目的・役割・機能
判例(藤沢薬品賃金台帳等文書提出命令抗告事件)は、法律が労働者名簿や賃金台帳の作成を義務づけている趣旨を次のように解しています。
労働者名簿や賃金台帳の調製を義務付けた規定は、直接には労働基準監督行政のためのものであるが、その内容は、労働契約や就業規則等により確定された使用者と労働者間の労働契約関係の内容を直接示すものである。そうであれば、労働者名簿や賃金台帳の作成目的や記載内容は、一方では 労働基準監督行政機関に提出するものであるとともに、他方では、労働者の現実の労働条件を記録化することによって、労働者に対しては、行政機関の監督権限の発動を促すことを介して、法令に適合しない労働条件を改善する機会を与えるためのものであると解することができる。
法定帳簿と関係・関連する制度
年金事務所の調査に必要
年金事務所の調査においては、法定帳簿の提出が求められます。
すなわち、年金事務所では、健康保険法第198条第1項、厚生年金保険法第100条第1項に基づき、3~4年に1回の割合(新規適用事業所では1年以内)で、定期的に、全事業所を対象にして、健康保険と厚生年金保険の被保険者の資格などの調査を実施しています。
この調査では、原則として、法定帳簿や給与支払明細書その他の書類(源泉所得税納付書の控、所得税源泉徴収簿、雇用契約書など)を持参することが求められます。
労働災害(いわゆる労災)給付の請求に必要
労働災害などの保険給付を請求するときは出勤簿が必要となります。
助成金の申請に必要
各種助成金を申請する場合にも、法定帳簿の提出が求められます。
税務調査の調査対象
法定帳簿は税務調査における調査の対象ともなります。
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