管理費滞納・未納―基本知識―対応方法・対処法・手段
管理費滞納・未払い問題
マンションの所有者は、建物の日常的な維持管理や長期的な修繕計画に基づく修繕工事などのため、管理費と修繕積立金を管理組合に月々支払う必要があります。
金額的には両者あわせて1万円くらいから数万円ですが、管理費等の滞納・未払いのために日常的な維持管理や必要な修繕工事ができなくなる可能性もあり、マンション自体の存続にも関わる大きな問題です。
参照 →管理費と修繕積立金
管理費滞納・未払いの問題を解決するための方策
規制する法律(法的措置・法的手段)
民法に基づく一般的な債務不履行責任の追及のほか、建物区分所有法(正式名称:建物の区分所有等に関する法律)が、管理費滞納・未払いの問題を解決するために有効な次のような特別な法的手段を用意してくれています。
- 先取特権に基づく滞納者の区分所有権(共用部分に関する権利および敷地利用権を含む)の競売請求
- 管理費等を滞納している区分所有者の義務違反に基づく区分所有権(共用部分に関する権利および敷地利用権を含む)の競売請求
※区分所有者の義務違反を理由とする区分所有権の競売請求については次のページを参照してください。
なお、上記2つの法的措置はともに区分所有者の所有権を剥奪するという意味で同じ内容ですが、先取特権を理由とする競売請求はあくまで担保権の実行としての競売で、その範囲(担保権の実行の枠内)で一定の制約があります。
その詳細については、ここでは省略しますが、この点、区分所有者の義務違反を理由とする競売請求は形式的に競売の手続きを利用して区分所有者の所有権を剥奪するという内容なので、担保権実行という枠にとらわれることなく実行できます。
具体的対応策(手順・段取り)
法的措置も含め、この場合にとりうる手段・方法をリストアップし、実施する順序を決めて整理したうえ、手順どおりに実行していきます。
1.通常の督促
マンションの管理は管理会社に委託しているところがほとんどだと思います。
そこで、管理費の滞納がある場合には、管理組合ではなく、まずは管理会社を通じて督促をすることになるでしょう。
管理会社があまり積極的ではない場合には、管理会社との交渉が必要となります。
2.内容証明郵便による督促
通常の督促によっても管理費の滞納が続く(例えば、6ヶ月以上)場合などには、 管理組合自らで内容証明郵便による督促を実施します。
管理費等の滞納問題に対しては、管理会社に任せっきりにはせず、管理組合がきちんと対応する姿勢を見せることが大切です。
簡単ですが、効果的な方法で、この時点で問題が解決する場合も多いかと思います。
3.債務不履行に基づく訴訟提起
内容証明郵便を出しても効果がない場合には、次に民法を根拠として管理費等の支払を求める法的措置を検討します。
つまり、裁判制度を利用するわけですが、これには通常訴訟だけでなく、支払督促、少額訴訟などより簡易な形式の訴訟形態もあります。
さらに、民事調停という制度もあります。
それぞれに特徴があり、一長一短がありますので、状況を鑑みて適切な方法を選択する必要があります。
4.建物区分所有法に基づく訴訟提起
建物区分所有法による競売請求は、本人の所有権を剥奪する権利を管理組合に認めたものですので、かなり強力な方法で、いわば最終手段と考えた方がいいでしょう。
管理費等の支払を求める通常訴訟で勝訴判決などを得ても、結局は支払いがない(強制執行も効果がない)、あるいは、繰り返し滞納する者に対しては、最終的にはその所有権を剥奪するしかありません。
これにより競売が実施され、競落人が確定すれば、建物区分所有法により管理費等の未納分を特定承継人となる競落人に対して請求することができますので、回収を図ることが可能となってきます。
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