取締役―退任―辞任
取締役の辞任
辞任の要件
会社法により、株式会社と取締役との関係は、委任に関する規定※に従うとされています。
※ここにいう「委任に関する規定」とは、民法で規定されている委任に関する条文のことです。
会社法
(株式会社と役員等との関係)
第三百三十条 株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
したがって、法律的には、取締役はいつでも辞任できるということになります。
将来の一定の日において辞任する旨の条件付意思表示をすることも有効です。
なお、辞任は、会社に対する一方的な意思表示によって効力が生じ、会社側の承諾は必要ありません。
民法
(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
辞任の効果
辞任の効果はもちろん退任ですが、会社の不利な時期に辞任をしたときは、原則として、これによって生じた損害を賠償しなければなりません。
民法
(委任の解除)
第六百五十一条 2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
取締役の辞任の効力発生日
辞任の意思表示は、通常は書面(一般的には辞任届といわれています)により行うことになります。
そして、辞任はその書面が会社に到達した日に効力が生じます(到達主義 民法97条1項)。
取締役の辞任の手続き
辞任の意思表示―辞任届
前述のとおり、辞任は、会社の代表取締役などに、辞任届(辞表)といわれる文書で行うのが一般的です。
登記
登記申請手続き
したがって、取締役が辞任した場合には、辞任から2週間以内に、本店所在地の法務局で、 役員変更登記(退任登記)を申請する必要があります。
添付書類
登記申請の際の添付書類としては、次のものが必要です。
- 辞任届
※取締役が株主総会に出席し、席上、辞任することを申し出た旨が株主総会議事録に記載されていれば、株主総会議事録が辞任届の代わりとなります。
なお、辞任により定款に定めた取締役の員数を欠かないことを証するための定款の添付は不要です。
登記をする趣旨
取締役辞任の意思表示を会社にした場合であっても、会社側が退任登記の手続きをとらないため、依然として登記簿上取締役として表示されている者は、株主を含む第三者に対して、対外的に損害賠償責任を負うことがあります。
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