会社設立(法人化・法人成り)のメリット―生命保険を経費にできること
生命保険に関する税務・税法上の優遇措置・優遇税制
はじめに
会社を設立する(法人化する)メリット(理由)には、さまざまなものがあります。
会社設立(法人化・法人成り)のメリット・長所・利点・有利な点
このページでは、このうち、会社を設立することで、生命保険の税法上の取り扱いが有利になることについてまとめています。
生命保険に関する法人税法上の優遇措置
個人事業主の場合は、事業主が生命保険に加入しても、その保険料は必要経費に算入することはできません。
確定申告をする際に、最大10万円の所得控除(生命保険料控除)があるだけです。
これに対して、会社の場合は、社長や家族従業員にかけた生命保険料を経費にする(損金算入する)ことが可能です。
ただし、生命保険には、死亡・入院により受け取る保険部分と、満期または解約により受け取る貯蓄部分がありますが、損金算入できるのは、原則として、掛け捨ての保険部分だけです。
会計上の話をすれば、掛け捨ての保険部分の保険料については、保険料(あるいは支払保険料)勘定などを使用して費用処理をし、税務上もこの費用処理をした分については損金算入が認められています。
これに対して、満期により受け取る積立ての貯蓄部分(=満期返戻金に相当する部分)の保険料については、預金や金融商品と同様の経済効果があるため、積立保険料(あるいは保険積立金)勘定(資産)などを使用して資産計上をする必要があります。
つまり、この部分は費用処理できないので、法人税の課税対象となります。
しかし、生命保険会社は、表向きは単なる、本来の生命保険(保険部分だけからなる生命保険)なのですが、満期返戻金ではなく、解約返戻金を高くする(解約返戻率が90%以上、中には97~98%とほぼ100%近く戻ってくるものもある)ことにより、実質的には貯蓄性の高い商品を各種開発しています。
つまり、通常の貯蓄型の生命保険は満期返戻金によりお金が戻ってくるので、費用処理できないのですが、解約返戻金というかたちでお金が戻ってくる仕組みにして、費用処理(損金算入)を可能としているわけです。
いわば、経営セーフティ共済の民間バージョンのようなものです。
なお、こうした節税対策・節税ツールとしての生命保険には、さまざまな種類の商品があります。
具体的には、掛金を全額損金算入できるけれども解約返戻率が85%程度と若干低くなるもの、逆に、解約返戻金が100%近く(約95%)になる代わりに、掛金の半額だけが損金計上できるものなどです。
中には、掛金の半額は損金算入(会社の経費扱い)、残りの半額は給与扱い※として(つまり、実質的には全額損金算入できるということ)、設定方法によっては、解約返戻金も100%近くになるという商品もあります。
※ただし、この給与は、いわゆる現物支給のみなし給与として、所得税の対象とはなりますが、社会保険料の対象とはなりません(つまり、社会保険料が高くなるわけではない)。
ただし、この種の商品は販売時点では適法であっても、後に税法改正により無効とされる場合も多いので、注意をしてください。
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