[社会]仕組み・手続き(申請・届出)・内容証明郵便など

日本の社会の仕組みや行政手続き等の方法・仕方・手順などを取り扱います。


会社設立(法人化・法人成り)のメリット―退職金を経費にできること


退職金に関する税務・税法上の優遇措置・優遇税制

はじめに

会社設立する(法人化する)メリット(理由)には、さまざまなものがあります。

会社設立(法人化・法人成り)のメリット・長所・利点・有利な点

このページでは、このうち、会社設立することで、退職金の税法上の取り扱いが有利になることについてまとめています。

退職金に関する法人税法上の優遇措置

個人事業主であっても、会社であっても、従業員・使用人に支払う退職金については、必要経費算入(所得税法)・損金算入(法人税法)が認められています。

しかし、個人事業主場合は、自分または族従業員へ退職金を支払っても、これは必要経費としては認められません。

これに対して、会社場合は、自分または族従業員に支払う退職金についても、経費に算入すること(損金算入)が認められています。

退職金(退職給与) - 簿記勘定科目一覧表(用語集)

退職金はその額が大きいので、これを経費に算入できるとすれば、その節税効果は非常に高いものとなります。

たとえば、代表的な節税ツールの一つとして、経営セーフティ共済というものがあります。

経営セーフティ共済に加入すると、掛金の全額を、必要経費(所得税法)または損金(法人税法)に算入することができます。

しかし、経営セーフティ共済では、これと同じく代表的な節税ツールの一つである小規模企業共済とは異なり、任意解約等で戻ってきたお金は、その点で、事業所得の雑収入(個人)または益金(法人)となります。

したがって、経営セーフティ共済を利用する場合、その「出口」、つまり、解約手当金というかたちで戻ってくるお金の使途を考慮しておかないと、結局は、課税の繰延べにすぎなかったということになります。

経営セーフティ共済とは - 税金―所得税法

この点、会社であれば、経営セーフティ共済の「出口」として退職金の原資とすることで、解約手当金というかたちで戻ってきたお金にも課税されることなく利用することが可能となります。

将来、自分や族従業員に退職金を支払いたい(つまり、課税されない簿外資産を形成していきたい)場合には、こうした退職金に関する税制上の優遇措置の存在も、会社設立するかどうかの一つの大きなポイントとなります。

注意

以上述べたことは、退職金自体についてです。

退職金引当金、つまり、退職金の積立金については、原則として、経費に算入することはできません。

ただし、経営セーフティ共済に加入し、戻ってくるお金を退職金の原資とすれば、結果的に、退職金の積立金となる月々等の掛金の全額を経費に算入できることになります。
なお、退職金引当金は、会計上は、退職給付引当金といいます。詳細については、次のサイトのページを参照してください。

退職給付引当金 - 簿記勘定科目一覧表(用語集)

例外的として、所得税法上、退職給与引当金という制度があります。

この制度は、事業を営む青色申告者が、一定の要件を満たせば、従業員の退職に際して支給する退職金にあてるため、一定の限度額の範囲内で必要経費に算入できる引当金を設定することができるという制度です。

必要経費―引当金―退職給与引当金―退職給与引当金とは - 税金―所得税法

参考

所得税法上、給与所得より退職所得のほうが優遇されています。

したがって、退職金をもらう側からすれば、月々の給与役員報酬を多くもらうより、退職金を多くもらうほうが、一生涯という長い目で見れば、租税負担、そして、社会保険料負担がともに大幅に軽減されることになります。



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