造作買取請求権―要件と効果
造作買取請求権の要件と効果(法律関係)
造作買取請求権の要件
1.造作
まず、問題となるのは、借地借家法にいう造作の意味と範囲・具体例です。
この点、造作買取請求権の対象となる造作とは、建物に付加された物件で、賃借人の所有に属し、かつ建物の使用に客観的便益を与えるものをいうと解されています。
昭和29年3月11日最高裁判例
①建物に付加されたもの
「建物に付加されたもの」とは、たとえば、畳、建具(戸・雨戸・ふすま・障子など)のほか、作りつけの戸棚、電気設備、ガス設備、水道設備、空調設備(エアコン)、物干し台、商店の陳列棚などがあります。
これに対して、家具は建物に付加されているわけではありませんので、造作には含まれません。
また、付合物、すなわち、トイレを水洗式にした(あるいは和式を様式にした)場合などのように建物に付加したものが建物の一部(建物の構成部分)となってしまった場合には、造作には含まれず、有益費の問題となります。
②賃借人の所有に属するもの
③建物の使用に客観的便益を与えるもの
造作買取請求権の対象となる造作は、建物の使用に「客観的」(=一般的・通常)な便益を与えるものであることが必要です。
したがって、賃借人がその建物を特殊の目的に使用するため、特に付加した設備(特定の営業にしか使用できない設備)は造作買取請求権の対象となる造作には含まれません。
昭和29年3月11日最高裁判例
2.家主の同意があること
3.賃貸借契約が期間の満了、または解約の申し入れによって終了したこと
借家人に家賃の不払いその他の契約違反があるために、賃貸借契約が解除された場合には、造作買取請求権は認められません。
造作買取請求権はあくまで「善良な借家人の保護」を目的としているからです。
4.賃貸借契約書に造作買取請求権排除の特約がないこと
造作買取請求権に関する規定は任意規定(当事者間の契約の方が優先される)です。
したがって、特約で排除(家主が造作を買い取らなくてもよい)されている場合には、造作買取請求権を行使することはできません。
なお、市販の賃貸借契約書などでは、「造作買取請求権は行使しない」という特約が入っていることが多いようです。
造作買取請求権の効果
借家人は、家主に対して、造作を時価で買い取ってくれるように請求できます。
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