損金算入できる役員報酬の種類―定期同額給与―通常改定
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通常改定とは
通常改定の定義・意味・意義
通常改定(つうじょうかいてい)とは、その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月を経過する日までに、定期同額給与の額を改定することをいう。
この場合、改定後の支給額についても、定期同額給与として、損金算入が認められている。
ただし、例外的に、3カ月を経過した場合であっても、特別の事情があると認められるときは通常改定として取り扱われる。
- 原則…その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月を経過する日までに改定されたもの
- 例外…その3カ月を経過する日後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改定の時期にされたもの
法人税法施行令
(定期同額給与の範囲等)
第六十九条 法第三十四条第一項第一号 (役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は、次に掲げる給与とする。
一 法第三十四条第一項第一号 に規定する定期給与(以下この条において「定期給与」という。)で、次に掲げる改定(以下この号において「給与改定」という。)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
イ 当該事業年度開始の日の属する会計期間(法第十三条第一項 (事業年度の意義)に規定する会計期間をいう。以下この条において同じ。)開始の日から三月を経過する日(保険会社(保険業法第二条第二項 (定義)に規定する保険会社をいう。次項第一号及び第七項において同じ。)にあつては、当該会計期間開始の日から四月を経過する日。イにおいて「三月経過日等」という。)まで(定期給与の額の改定(継続して毎年所定の時期にされるものに限る。)が三月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にあつては、当該改定の時期)にされた定期給与の額の改定
通常改定の範囲・具体例
原則―その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月を経過する日までに改定されたもの
定時株主総会・社員総会等で改定された役員給与
「その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3カ月を経過する日までに改定された」とは、具体的には、決算承認を行う定時株主総会・社員総会等で役員報酬額を改定するということである。
もちろん、「会計期間開始の日から3カ月を経過する日まで」なので、臨時株主総会等で給与改定することも可能であるが、一般的には、決算承認を行う定時株主総会等で合わせて役員報酬額の改定に関する決議も行われる。
なお、改定後の金額での損金算入の時期は、改定後の支給からとなる(後述)。
たとえば、決算日が12月31日で、毎月20日に役員報酬を支給することとしている場合において、決算月の2月の19日までに開催した定時株主総会等で定期同額給与の額の改定を決議したときには、改定後の金額で損金算入できるのは、2月20日に支給された役員報酬からとなる。
これに対して、定時株主総会等が開催された日付が2月20日~3月19日では、改定後の金額で損金算入できるのは、3月20日に支給された役員報酬からということになる。
例外―その3カ月を経過する日後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改定の時期にされたもの
「特別の事情があると認められる場合」として、通達では、次に掲げるものが例示列挙されている。
- 全国組織の協同組合連合会等でその役員が下部組織である協同組合等の役員から構成されるものであるため、当該協同組合等の定時総会の終了後でなければ当該協同組合連合会等の定時総会が開催できないこと
- 監督官庁の決算承認を要すること等のため、3月経過日等後でなければ定時総会が開催できないこと
- 法人の役員給与の額がその親会社の役員給与の額を参酌して決定されるなどの常況にあるため、当該親会社の定時株主総会の終了後でなければ当該法人の役員の定期給与の額の改定に係る決議ができないこと
法人税基本通達
(特別の事情があると認められる場合)
9-2-12の2 令第69条第1項第1号イ《定期同額給与の範囲等》に規定する「3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合」とは、例えば、次のような事情により定期給与(法第34条第1項第1号《定期同額給与》に規定する定期給与をいう。)の額の改定が3月経過日等(令第69条第1項第1号イに規定する3月経過日等をいう。以下9-2-12の2において同じ。)後にされる場合をいう。(平19年課法2-17「二十」により追加)
(1) 全国組織の協同組合連合会等でその役員が下部組織である協同組合等の役員から構成されるものであるため、当該協同組合等の定時総会の終了後でなければ当該協同組合連合会等の定時総会が開催できないこと
(2) 監督官庁の決算承認を要すること等のため、3月経過日等後でなければ定時総会が開催できないこと
(3) 法人の役員給与の額がその親会社の役員給与の額を参酌して決定されるなどの常況にあるため、当該親会社の定時株主総会の終了後でなければ当該法人の役員の定期給与の額の改定に係る決議ができないこと
通常改定の位置づけ・体系(上位概念)
定期同額給与
法人税法上、役員に対して支給する給与、すなわち役員報酬は、その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(=定期給与)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものについては、定期同額給与として、損金算入が認められている。
また、支給額が変更された(役員報酬額が変更された)場合であっても、所定の要件・条件を満たすものについては、同じく定期同額給与として取り扱われる。
そのひとつが通常改定である。
通常改定の税務・税法・税制上の取り扱い
損金算入の可否・範囲―法人税法上
全額損金算入
通常改定により役員報酬の額を変更した場合、定期同額給与として、損金に算入できる。
損金算入の時期
前述したとおり、改定後の金額での損金算入は、改定後の支給からとなる。
換言すれば、支給日の前日までに定時株主総会等により給与改定を行う必要があるということである。
したがって、期首である1月には遡及することはできない(1月20日に支給する役員報酬は改定前の額となる)。
なお、期首に遡及させたい場合は、改定後の支給額にあらかじめその遡及差額を織り込んだかたちで、支給額の改定をするか、あるいは通常改定ではなく、随時改定というかたちにするという方法がある。
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