防音性―遮音性能―遮音対策―筐体―遮音材料―分類・種類
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遮音材料の分類・種類
遮音材料は壁材・床材などに使用されるが、この場合、単位面積当りの質量が大きいほど遮音性が向上する(質量則)。
鉄筋コンクリート造の場合
遮音材料は次の3つに大別される。
- 単層構造
- 積層構造
- 中空多重構造
以下、日本音響材料協会 「集合住宅を支える最近の遮音対策技術」 音響技術No.164(2013年)などを参考
1.単層構造
単層構造としては、せっこうボード(乾式壁)、合板、コンクリートなどがある。
ただし、単層のままで界壁に使えるのは、一般的にはコンクリートであり、かつ相応の面密度が必要になる。
コンクリート単層壁
鉄筋コンクリート造にしてコンクリート単層壁を使用することが従来からオーソドックスな遮音対策として、もっとも確実に性能を確保できるものとされてきた。
参考:日本音響材料協会 「音響材料の使い方と技術資料集」 音響技術No.159、2012年、3頁。
なお、遮音性はコンクリートの厚さが厚くなるほど高くなる。
ただし、同じコンクリートといっても、普通コンクリート、軽量コンクリート、気泡コンクリートでは密度が異なるので、同じ厚みでも遮音性能に差が生じる。
参考:日本音響材料協会 「音響材料の使い方と技術資料集」 音響技術No.159、2012年、3頁。
2.積層構造
積層構造としては、たとえば、せっこうボードに制振材料を貼り合わせて遮音性能を向上させた構造などがあげられる。
また、ハニカムなどを芯材としたサンドイッチ構造もこの種に含められる。
3.中空多重構造
中空多重構造は中空層を有するもので、ボード系の多重構造などがある。
中空多重構造では中空層の厚みが遮音性能を左右する要因のひとつである。
同じ面密度ならば中空層があるほうが遮音性能が高い。
乾式中空二重壁
高層の集合住宅(マンション)の界壁などでは、ボード系の中空二重壁が使われることも多く、コンクリート壁に匹敵する遮音性能を確保できる構造も開発されている。
特に、せっこうボード(乾式壁)系の中空二重壁(乾式中空二重壁)には、コンクリート壁並み、またはそれ以上の遮音性能(TLD-60)を達成できる製品もあり、集合住宅の界壁、ホテルの客室間隔壁、住宅の同一戸間仕切壁などに使用されるものなど多種類の壁が製品化されている※。
※日本音響材料協会 「音響材料の使い方と技術資料集」 音響技術No.159、2012年、3頁。
木造の場合
遮音シート・遮音パネル等
木造では、壁厚などの制約があり、遮音シートまたは遮音パネル※(遮音パネルはメーカーによっては遮音ボードともいう。また、床の場合は遮音マットなどともいう)などと呼ばれる遮音材料や、制振シート(メーカーによっては制振遮音ボードともいう)などと呼ばれる制振材料をボード系壁材に貼ることによって遮音性能を向上させることが多い。
なお、この場合、壁だけでなく、床や天井(要するに全面)にも空気音対策や床衝撃音対策のため遮音シート等・制振シートを貼ることが必要である。
参考:日本音響材料協会 「音響材料の使い方と技術資料集」 音響技術No.159、2012年、3頁。
※遮音パネルのほうが遮音シートより遮音性能が高い。
しかし、遮音シート等に加えて、内壁材(下地材)にできる限り厚いせっこうボード(単層構造のほか、制振材料を貼り合わせた積層構造のものもある)等※、そして、外壁材にALCを用いることでさらに遮音性能を向上させることができる(その際、グラスウールも充填する。また、施工時に隙間を作らないよう注意する)。
※せっこうボードの継ぎ目にシール材を使用するとさらに遮音性能はアップする。
なお、木造であっても遮音材料を用いた壁は防音サッシよりも遮音性能が高くなる。
そして、音は窓・ドア・換気用の開口といった一番遮音性能が低いところから伝わってくるところ、鉄筋コンクリート造にしても窓等の開口部があるため、結局、建物全体では遮音材料を用いた木造と遮音性能が(あまり)変わらなくなるという結論になる。
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