給与計算事務―法定帳簿―出勤簿
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出勤簿とは
出勤簿の定義・意味・意義
出勤簿とは、労働者(従業員)の労働日数、労働時間数、時間外労働などを把握するために、労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録する法定帳簿をいいます。
出勤簿の位置づけ・体系
出勤簿は、法定帳簿(法定三帳簿と呼ばれることもあります)の一つです。
法定帳簿とは、法律上(労働基準法)、作成することが義務づけられている給与関係の書類です。
会社・個人事業主は、社員・従業員を採用した場合、次の3つの法定帳簿を作成しなければなりません。
出勤簿の根拠法令・法的根拠・条文など
同じく法定帳簿とされている労働者名簿や賃金台帳については、労働基準法にその根拠条文があるのですが、出勤簿については、これについて定めた明確な条文はありません。
しかし、賃金台帳を作成するには労働日数、労働時間数等を把握する必要がありますので、出勤簿はやはり事業所には備え付けておく必要があります。
そのため、賃金台帳の整備を義務づけた労働基準法第108条などが出勤簿の根拠条文といえるでしょう。
労働基準法
(賃金台帳)
第百八条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
労働基準法施行規則
第五十四条 使用者は、法第百八条 の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。
…
三 賃金計算期間
四 労働日数
五 労働時間数
六 法第三十三条 若しくは法第三十六条第一項 の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
…
出勤簿の具体例(方法・手段・仕方)
労働日数、労働時間数等が把握できるのであれば、どのような方法でもかまいません。
ただし、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」という厚生労働省の通達では、「労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録する」ための方法として、次の3つをあげています。
つまり、タイムカードを使えばいいということになります。
また、タイムカードを使用しない場合(上記の1と3の場合)には、エクセルなどで様式を作成して、記入していくということになります。
一般的には、改ざん等を防ぐためには、タイムカードによる記録が無難とはいえるでしょう。
出勤簿の内容・記載事項と書式・様式
労働者名簿や賃金台帳などにように記載事項が法定されているわけでもありません。
また、出勤簿の法定の様式もありません。
そこで、出勤簿の記載事項をどうするかという問題が発生します。
要は、労働時間数等が把握できればいいのですが、最低限、始業時刻、終業時刻が記録できる様式であればいいでしょう。
エクセルやワードで出勤簿を作成して管理している事業所も多いと思います。
出勤簿の無料テンプレートは次のページからダウンロードできます。
よろしければ、あわせてご利用・ご参考にしてください。
出勤簿(勤怠管理表)雛形(ひな形)の無料テンプレート03(エクセル Excel)―タイムカード形式(手書きタイプ) - ビジネス文書・手紙・はがきテンプレート(書式・様式・書き方)の無料ダウンロード
出勤簿の作成対象
社長・取締役等の役員
労働基準法は労働者を対象としています。
したがって、労働基準法上は、労働者ではない役員については、出勤簿を作成・保存する必要はないといえます。
よって、労働基準監督署の事業所調査の対象とはなりません。
しかし、社会保険の関係(傷病手当金の申請等)で、役員についても出勤簿を作成しておいたほうがいいといえるでしょう。
なお、傷病手当金の詳細については、次のページを参照してください。
出勤簿の保管方法・保存期間
出勤簿の保存期間
出勤簿は、労働基準法第109条により、3年間保存する必要があります。
労働基準法
(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。
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