退職の分類②―会社都合退職の認定の手続き・手順
会社都合退職の認定の手続き・手順
概要・概略・全体像
退職理由の主なものとしては、大別すると、自己都合退職と会社都合退職とがあります。
通常、退職する側としては、会社都合退職とされたほうが、少なくとも経済的な面ではメリットがあります。逆に、会社側としては、会社都合退職とするとデメリットがあります。たとえば、会社が助成金を受けている場合には、会社都合で解雇をすると、助成金が受け取れなくなる場合があります。
どちらの理由・事由になるのかで、退職金と雇用保険の給付で差が出てくるのですが、いずれにせよ、会社と退職する本人とで考えが一致している場合は問題ありません。
問題となるのは、会社は自己都合退職扱いにしようとしているのですが、自分では実際には会社都合退職であると感じている場合などです。
こうした場合、本人側がどのようにして自分の考えを主張していくのかについて、ここでまとめておきます。
会社都合退職であることなどを主張できる場面
退職する本人が、会社側の意向に反して、会社都合退職であることを主張できる場面は次の2つがあります。
1.退職手続き時に会社に直接主張する
会社は、退職日から10日以内に、ハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書の提出をする必要があります。
そして、雇用保険被保険者資格喪失届では、「被保険者でなくなったことの原因」、雇用保険被保険者離職証明書では、「離職理由」という記入項目がそれぞれあります。
この項目に記載されている内容が、あとで失業手当を申請する際に、ハローワークが自己都合退職か、会社都合退職かを認定する判断材料となります。
ただし、この2つの書類には、退職・離職前に本人が記名押印または自筆による署名をすることになっています。
そこで、記名押印等をするタイミングで、直接会社と交渉することができます。
2.失業給付・失業手当の申請(求職の申し込み)時にハローワークで主張する
会社との交渉がうまくいかない場合には、ハローワークで失業給付・失業手当の申請(求職の申し込み)をする際に、自分の考えを主張することができます。
退職・離職の手続き・手順―失業給付・失業手当を受けるには―受給されるまでの手続きの流れ・全体像・段取り(スケジュール)
申請(求職の申し込み)をすると、ハローワークでは、受給要件を満たしていることを確認したうえで、その場で受給資格の決定を行ないますが、このとき同時に、離職理由についても判定します。
具体的には、簡単な面接があり、ハローワークの窓口の担当者から「自己都合退職ですか?」などと質問・確認があります。
自己都合退職の扱いに納得できていない場合などには、このタイミングでハローワークの担当者に本当は会社都合退職である旨や、パワハラ、セクハラ、いやがらせ退職、過度な残業などの特別な事情があることを主張することができます。
しかし、証拠=会社都合退職であることを裏付ける客観的資料等を用意している必要があります。
ただし、その場で提出できなくてもかまいません。その場で提出できない場合は、担当者から後日持参するようにといわれるかと思います。
会社都合退職であることなどを主張するための証明・証拠
ハローワークに会社都合退職であることを主張するには、証拠が必要です。
具体的には、タイムカードのコピー(サービス残業などの証明)や、会社側の発言の録音(パワハラや退職の強要などの証明)などがあります。
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