クーリングオフ―手続き
1.クーリングオフの手続き―具体的手順・方法・仕方
業者との交渉
自分で交渉する
業者に契約解除の通知する
最初に述べたように、クーリングオフは、契約の解除権のことです。
そして、契約の「解除」は、法律的には「意思表示」の一つとされています。
したがって、クーリングオフにより契約を取り消す場合には、自分で事業者に契約を解除するという意思表示をしなければなりません。
なお、支払いのためにクレジット契約をした場合には、信販会社にも通知をする必要がありますので、注意しましょう。
書面で通知する
この意思表示は本来口頭でも書面でもかまわないのですが、クーリングオフの意思表示は書面・書類ですることとされています。
実際、この解除の意思表示を電話などにより口頭で行った場合、仮に業者が契約のキャンセルを了承してくれたとしても、後になって「聞いていない」と言われたらそれまでです。
発信主義
この場合、民法の到達主義の原則ではなく、発信主義が適用されるので、期間内の消印があれば大丈夫です。
通知の証拠を残す
書面で契約解除の通知する場合に大切なことは、後日のトラブルを防止するために、通知した証拠を残しておくということです。
そのためには、配達証明付の内容証明郵便で通知しておけば確実です。
また、内容証明郵便を利用するにはそれなりの費用がかかりますので、はがきの裏表をコピーして簡易書留で通知をしてもいいでしょう。
手元に郵便局でもらった控えとハガキのコピーが残りますので、クーリングオフをした証拠となります。
専門の相談機関に相談をする
自分で業者と直接交渉をしていいのですが、まずは、国民生活センターや各都道府県・市町村等に設置されている消費生活相談センター、苦情処理委員会、または、司法書士会や弁護士会の相談所などで相談してみるのもいいでしょう。
クーリングオフをする場合の費用・手数料・料金
クーリングオフの効果―原状回復にかかる費用負担について
民法上解除の効果の一つとして各当事者は原状回復義務を負うものとされています。
この民法上の原則からすれば、例えば、買い主が売買契約を解除した場合、買い主が受領した商品の返還に伴う費用は買い主が負担するということになります。
しかも、契約を解除された売主は買主に対し、損害賠償を請求することもできます。
しかし、クーリングオフによる解除の場合は、すでに支払ったお金が返金されることはもちろんですが、商品の返品にかかる送料も消費者ではなく、販売者側の負担となります。
さらに取り付け工事など工事が始まってもクーリングオフは可能ですが、その原状回復にかかる費用も請求することができます。
また、業者は解除による損害賠償や違約金等も請求できません。
2. クーリングオフの次の手段・方法
2.1 消費者契約法により契約を取り消す
クーリングオフ期間が過ぎている場合やその他クーリングオフをするための要件を満たしていない場合には、消費者契約法による契約の取り消しができないかどうかを検討してください。
2.2 民法上の詐欺を理由として契約を取り消す
場合によっては、詐欺を理由に契約を取り消すという方法もあります。
詐欺を理由とする取り消し期間は民法上、詐欺であることを知ったときから5年間とされていますので、クーリングオフ期間をすぎてしまった場合に有効な手段です。
(取消権の期間の制限)
第百二十六条 取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
2.3 詐欺を理由として告訴する
場合によっては、刑法246条1項の詐欺罪に該当するとして、刑事上の責任を追及することも可能です。
2.4 監督官庁等への通知
さらに、特定商取引法に違反する行為は、刑事罰の対象となるほか、行政処分の対象ともなりますので、国民生活センターへの情報提供のみならず、経済産業省への通知といった手段もあります。
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